天下泰平 天上無風
それこそ一瞬だった。八ヶ岳の主峰赤岳の肩から飛び出した朝陽が細長い食堂の奥にまで差し込んできた。
低い角度で差し込んだ光は、テーブルに反射してまぶしい。人々は今日の行楽を楽しくしてくれることを約束した太陽なのに一様に顔をしかめる。
食事を終え、朝陽の当たる草原では霜で白くなった部分が日の光を少しはなれて追いかけている。
さぁ、出かけよう。あの山越えて、蓼科山の西を巻いて”りんごの里”立科町へ。
知り合いのりんご園は、「今朝の霜はきつかったね」といいながら、最後の収穫に精を出していた。寒い地方の果物でありながら、水分が多いせいか寒さがきつくなる前のぎりぎりに取入れを済ませたいとのこと、完熟との兼ね合いもありこれも生活の糧をうる仕事となれば、管理が大変なところである。
幸いにして風もなく空は真澄に澄み切って、浅間の煙も今日は群馬県側に流れているため、白い山頂は稜線がはっきり見える。振り返れば蓼科山が、なだらかな尾根の先にこんもりとおわんを伏せたように盛り上がっている。
天下泰平 天上無風
世の憂さも忘れるひと時、こんな日が永遠に,,,,,,,,続くはずないよな!
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