けなげな一輪 竜爪山
駐車場に車を入れ、エンジンを止めた途端に聞こえてきたとがすこぶるつきの美声。
ミソサザイが、歓迎の唄を高く長く歌ってくれた。ミソサザイの姿はお世辞にも綺麗とはいえない、茶黒い小鳥,その中でも一際小さく(全長10センチはない)目立たない存在だが、天は彼に美しい歌声を与えた。これはウグイスも同様だがあの小さな身体からよくあんな大きな啼き声が出るもんだといつも感心させられる。
今朝、起きてみたら久し振りに空が明るい。天気予報でも「穏やかな一日です」とのこと、里ではほとんどめぼしい場所での桜は散り、山に駆け上っている時期なので、どの辺まで春が行っているのか見ようと竜爪山(1061m)に登ることにした。
同じ登るならと長い間行ったことのない、長尾川支流の則沢川沿いに上がり、林道の終点の駐車場で支度をした。
標高350mほどか、丁度このあたりが道の両側に植えた大島桜と山桜に近い桜が満開を迎えていた。
ミソサザイの声援に送られて登りだした杉林は、最近になく手入れが行き届いていて下枝がきれいに刈られ、気持ちがよい。こうでなくては林業家とは言えない。しかし、その綺麗さがたたってか、山登りした人たちがそこらを勝手に歩き、踏み後が幾筋にも付けられている。こまったもんだ。
足元の春を探しながら高度を稼ぐ、まず、スミレが、ついでミツマタの白い花が点々と続いた後、数が少ないものの、お目当てのミツバツツジが明紫色で山桜と共にお迎えをしてくれた。
なにしろ、全体が杉林の中なので、花をつける草木が少ない、それでもこのミツバツツジは標高800m付近に咲いていたところを見ると、この辺が春の限界か。
登りだして、50分ようやく見慣れた山頂に到着。ここの桜は若いせいか花はなく若芽も少し膨らんだ程度だった。
一休みした後、荷物をここにデポし隣の薬師岳行ってくることにした。この山頂はそれこそ杉の木に覆われ期待した春はどこに?状態だったが帰りに一輪だけけなげに咲いた紫エンレイソウを見つけ写真にして帰った。
本日はウイークデイ、いつもは賑うこの山も追い越し一人とすれ違い一人の静かな山行きであった。
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