春蝉がかしましい山頂
位牌岳への山道は、登る人も少ないのか荒れている。両側からの細い木や竹で見苦しくなっているところをかき分けていく。
花は小紫陽花とウツギがさかりであるが、愛鷹つつじやドウダンツツジは済んでいて葉だけとなっている、他には黄苺があちこちに見られるので取りやすい所をつまんでは口に放り込む、この味は喉の渇きを抑える子どもの味。
尾根筋とは言いながら、あまり展望はない。それでも1,100m付近では谷を挟んで黒岳と越前岳の稜線のうえに富士山が顔を出した。結局この日富士山を見たのはここだけだった。
その後西からの風も強くなり、前方は霧とも雲とも付かぬものに巻かれ、先の目安が分からなくなった。しばらく、上下を繰り返した後、突然霧が取れ前方にブナの風倒木帯が現れる。いつの頃倒れたものか。
木が相等腐っている所から。10年以上まえ。いやもっと前だろうか。倒れた原因は台風だろうか、こんなに倒れるなんて、それにしてももったいないような木ばかりである。
ここを過ぎるとまもなく、谷沿いの道との分岐に到着し、あと30分ほどで頂上だと言う。
10分ほど登ると、愛鷹山からの道と合流し頂上へ到着したのは、上りだして3時間50分もたっていた。頂上は3mから5mほどの小さい木が沢山あり、見晴らしも何もない、ただ、春蝉が大量にいてかしましいの一言。
あまり喧しいので写真だけを撮り少しはなれたところで昼飯にする。風は相変わらず強いものの気温は低くないらしく、汗だらけの服を着ていても寒いとは感じない。
しばらく休んでから、降ることにし”つるべ落としの滝”を見んものと谷沿いのコースを取る。
このコース、案内板によると1.8kmで50分かかるとあるように、かなりの難コースであった、降り始めてすぐくらいに、粘土の露出層でスッテンコロリと尻餅をついたほか、コケの付いた濡れ石でも何度か足を滑らせた。
同伴者がいれば、さぞかし笑われたほど無様な格好だったろうが、誰もいないのでソコハソレで済んだ。
”つるべ落としの滝”名物にうまいものなしを地で行ったように、ほとんど水のない枯れ滝、「どこからこんな名前が付いたのか、まさか糸のように細い水をつるべの紐に見立てたわけじゃないだろうな」なんて毒づきながら再び下山する。
結局、もとの水神社に戻ってきたのは、約7時間も経ってからのこと、年寄りには結構つらい山登りであった。
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