おおつごもり
今年も後僅かで過ぎ去ろうとしている。
子供の頃に比べると、一年の過ぎようは早い。北陸方面はいま雪が降っているとか、同級会の締めであちこち電話してみたが、昼近くなって本格的になったと言うから、一般には邪魔な雪でも、スキー場にとっては恵みの雪と言ったところか。
大晦日。昔は”おおつごもり”といったところも有る。つごもりとは月隠れが縮まった言葉だといい、旧暦の月末、新月の前の月が見えない日を言うそうだ。それに”おお”が付くのは年の終わり、つまり、大晦日をいう。
大昔、といっても昭和の始めころまで、一般には買物の支払いは盆と暮れに一度で支払うが一般的だったようで、大晦日の夜には、支払いの遅れた家に借金取りが群がっていたと言うことを落語の世界でよく聞く。
大晦日に支払いができないと言うことは、ほとんどが貧乏人であり、樋口一葉の「大つごもり」もそのことを主題として書いてある。
養父の家の借金を奉公先の主人に頼むが断られる、思い余って主人公お峰は奉公先のお金をくすね、主人の道楽息子に罪をなすりつけたが、その後の心の葛藤を描いた小説の題名である。
今の世の中付けで物を売ってくれるると頃などありはしない。それどころか、消費税たら言うもので1円足りなくても買えない始末。
「少々まけてよ」なんて商売人とやり取りを楽しんで買物をするなんてことは、これも、遠い昔の話しになりつつある。世知辛い世の中になったもんだ。
とはいえ、借金も無く平穏無事に年を越せるということは、ありがたいことである。
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風も強く、昼間は遠い空から冬の便り、風花(カザハナ)が舞ってきた。10年に一度降るか降らないかの暖かい静岡では、遠い所から風に載ってくる僅かな雪を言うのだが、年納めの今日、世の中の清浄を祈念していると見たのは考えすぎか。
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