春なわすれそ
匂い起こせよ 梅の花
あるじなしとて 春なわすれそ
むかし、菅原道真が大宰府に流されて歌った有名な和歌であるが、ここ、麻機山の農道脇、耕作者がいないのか荒れ果てた畑に咲く梅の一枝。
律儀に花を咲かせ始めた、梅はやはり白い一重のものが私にはいかにも梅らしくて良い。
太陽に向けて花弁をいっぱいに広げたこの花、見ようによっては天神さんに向かって匂いを送っているように見えぬこともない。
今朝ほどの寒さで、日陰のところは白く霜がかかっていたが、日の当たる場所ではオオイヌフグリがコバルトブルーの宝石をまいたように点々と草むらで光り、タンポポやオオタビラコが地面に這った草から一段と高く、黄色い花を輝かせている。
今日は、久し振りの快晴に誘われて麻機の上の山並みを歩いてみた。
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今日17日は、阪神大地震から13年目の当たる日だそうだ。当日は朝早くゆれたのは知っていたが、そんなに被害がでているとは分からず牧の原の現場に出ていたが、今日のように快晴の上風が強かったのを憶えている。
この地震の反省から、災害に対する即応性や被害者のケアなどが論じられて幾分進歩を見たが、昨年だけでも60人にのぼる孤独死などが問題になっている。
そして、災害の記憶が薄れつつあることを、テレビなどは関係者にインタビューして嘆いていた。
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話はがらっと変わる。そのむかし、熱海の海岸で間貫一と言う青年が「今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」と連載小説で語らせた、今月今夜というの1月17日だったそうだが、それから120年ほどたった今日、やはり月は雲の中、よほど恨みは深かったのだろう。
貫一さんも、天神さんも男の恨みは長く続く。
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今日の花。左、いわずと知れたタンポポ。右、大田平子(オオタビラコ)春の七草、仏の座はこれ。
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