蓬摘み
昨日見た土手伝いに蓬の若芽が摘めるくらいに大きくなっていたので、ビニール袋を片手に持ってでかけた。
田んぼなどの脇にもいいのがあるのだが、肥料はまだしも除草剤でもかかっていたら、それこそ”日本版農薬入り草餅”になりかねないので敬遠する。
風もなく暑いくらいの日差し、菜の花で黄色くなった土手周り、ツクシ タンポポのご常連はもとより花の種類も多くなり、かなり歌うたいも上手になった鶯があちこちで美声を競いだし、世はまさに春!。
座り込んで、草を摘んでいると通りかかった人が何か可にか話していく、その相手をしたりしているうちに袋がいっぱいになる。
その中の一人に、蓬を知らない人がいた。年のころは70代に入っているのに。福島の農家の生まれだというのだが、、、。
驚いたね~。ずーっと前にも同じような驚きをしたことがある。
それは、高校に入学してからのことだったが、同級生と話していたら「銀シャリしか食べたことがない」といった。彼は富山の農家の出だが、そんなことがありえたのかという驚きは今でも覚えている。
銀シャリとは今の人には通用しないかもしれないが、米だけで炊いた御飯のことで、戦後間もなくの食糧難のとき、何でも混ぜ物をして量を増やし、腹を誤魔化したものである。
先日もこの話をしたら”五目飯”や混ぜ御飯と間違って取られたが、そんな立派なものではなく、草を入れたり大根を入れた御飯で、今の人ではとても食べられた物ではないと思う。
銀シャリが夢のまた夢の時代に、銀シャリたっぷりの生活していたなんて、と驚いたが、今日、同年代の人が蓬を知らなかったのはそれに似た驚きだった。
「草餅は食べたことがあるが、こんな草で色をつけていたのは、、、」と言われると世の中広~い。
しかし、孫たちにも食べさせたいと摘んでいる草も、ただ、餅にして食べさせるのでは、遅かれ早かれ専門にしている人以外に蓬が食べられるなんて知らなくなるだろうし、合成調味料や着色料を使うようになるとそれこそ誰も知らなくなる。そんな時代も近いのかもしれない。
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土手はいま、姫踊子草が笠を高く掲げて踊りだす準備を整えているかのように、群れを成して伸び上がっている。昨年末からの”ホトケノザ”の後釜を狙うかのように、しかし、色と言い、形と言いよく似ているので知っている人にしか分からない。
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