法器草?
真夜中の空をイカヅチがガラガラと走り回り、レム睡眠の目蓋を通して稲光が見えた。
一夜明けた今朝方は、その余韻が残り北部の山々は水墨画の世界のように雨霧がかかり薄ぼんやりとかすんで見えた。
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いま麻機沼の中央部の水面に鬼蓮(オニバス)が紫色の小さな花を咲かせている。葉の裏表に棘があり葉の直径が1メートルを越す所から鬼の名が付いたようだ。
葉は浮かんでいるだけで、薄っぺらな上柔らかく、花がその葉を簡単に突き破って出ているものもある。図鑑によると、花は自家受粉で閉鎖花のほうが多く、水面に顔を出すのは稀だとあるので花は貴重なものということになる。
また、出来た種は水底に沈んでいて、何か刺激があるまで沈んでいて発芽するとある。そういえば去年この当たりを重機で浚っていたので、今咲いている花はそれが原因の花と言うことになる。
葉が大きすぎるため水面を覆い、池が酸欠になったり、ジュンサイの邪魔になったりで農家からは嫌われ、沼の埋め立てなどで繁殖地がなくなって、絶滅危惧種に指定されていると聞くと、この沼は貴重な存在になるのだろうか。
この池にまつわる伝説に「沼の婆さん」というのがある。むかし、この沼の主に孫を奪われたお婆さんが、沼に身を投げて、沼の主、河童を退治したところ、翌年から”法器草”という植物が出てき、村人の食べものになったという。
”法器草”という名は植物図鑑にも載っていないので、はっきりしたことは言えないが、言い伝えの中には、身を投げた後村人が探しても見つからなかったとか、葉が2㍍もあり、棘がはえているとあるからほぼ間違いないだろう。
人間の都合で、絶滅される動植物をこれ以上増やさないようにと思う一方、不便をを強いられる立場になると甘いこともいっていられなくなる。
しかし、何かことが有るまで沼の底でじぃっとしているというのも、なんだか不気味な存在の水草である。
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明日から岐阜と長野へ墓参りをかねて避暑に行って来ることにしました。しばらくお休みいたします。
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