焦熱地獄を覗き見る
寝起きの散歩。朝の食事は七時半からという話だったので、それまでに一汗流して風呂に入ろうと外に出る。
すぐ傍の、馬事公苑に来ればすでに馬は起きている気配がし、馬小屋の中でごそごそと動く音がする。
その脇を通って、更に農道を巡り帰って来れば女性を乗せた一頭の馬が朝日の差し始めた馬場の中を巡っている。
此処しばらく雨が降らなかったのか、草露はあったのに馬場では砂埃が立っていた。
朝風呂にのんびりと浸かれば、朝ご飯の用意が出来ているとのことであわただしく食堂に向かう。
今日も暑くなりそうな気配は、空に現われている。「農産物の店が開くまで」と涼しい部屋で九時過ぎまでゆっくりとした後、望月の町のほうに向かって降る。
弟夫婦は、今日帰るというのでじゃが芋の支度、とうもろこしほか農産物の仕入れに余念がない。昼少し前に和田峠経由で帰っていった。
さて、残された我々もすることがないし、暑いので、女神湖から御泉水自然園、そして大河原峠へ向かってみようと出発した。
御泉水自然園は蓼科山の西麓にあって標高は1,800m程度のシラビソ、栂、岳カンバなどを主体とした自然林の中に植物や小鳥を観察できるようにチップを敷いた観察する道が作ってある。
今回は、足弱のものがいるため、お花畑コース約1Kmを散策する。
季節の変わり目だったのかヤナギラン、野アザミ、白山フウロ、ツリガネニンジン、など花の数が少なかったものの歩きやすい道は快適である。
そこを出たあと、さらに東に向かって進み一番高みの大河原峠に到着。標高2,097mの標識があり気温は19℃まで下がり最近になり、そよそよと吹く風はまさに極楽風。気分まで爽やかにしてくれている。
下には、望月町とその周辺が一望できるものの、昨日小噴火したという浅間山は雲の中で見えない。そして、その雲の中に雷様が隠れていると見えてさほど大きな声ではないがうなり声をときどき発していた。
こんな所にいると、なんだか芥川龍之介の”蜘蛛の糸”のように、極楽の蓮の池から下を見ると焦熱地獄の地表を覗いているような気分になり、すぐ其処に帰らなければならないのを忘れ、観音様になった気分になる。
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今日の花。御泉水自然園にて
左、ウツボグサ 右、野アザミとヒョウモンチョウ
左、釣鐘人参 右、シュロソウ
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