予定通り開花宣言
「奇麗に咲いているんで入ってきたよ」とカメラを片手に声をかけると、「この顔も一緒にどうかね」って髭面を突き出す地主とおぼしきひと。
「ワッハハハ そりゃないね」と自分が言う。初対面の人だが屈託がない。
出かけるときには、半そでの下着に運動着を一枚着ただけで家を出たが、少し歩いただけで汗が出て、麻機の山道に差し掛かるころには上着を脱いでしまった。
先月末に二十六度という前代未聞の気温があったが、それよりは体感温度が高い。二月は如月(キサラギ)と言い、もともとの言葉は着ているものの上にさらに着るという意味からできたと聞く。
となれば、三月は脱いだ服をさらに脱ぐという意味で”脱更脱”(ダツサラダツ)とでもいうことにするか。あまり奇麗な言葉ではないので流行らないけど。
冒頭にきれいだと言った花は四手辛夷(シデコブシ)、淡い紫の花を大きく広げ、わずかな風を受けて花びらの先端をゆるく動かしていた。
四手辛夷の野生のものは絶滅危惧種だとのことであり、この花は園芸種に違いないと見たが、山中に一本だけ突っ立っているのを見るといかにも絶滅危惧種という感じがするから不思議である。
名前の由来は、神前に捧げる幣のように見えるところから、シデという名前がついたと言われると、まさにそのとおりと手を打ちたくなる。
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午後になって、明日の準備にと少しばかりの旅費を降ろしに信用金庫に向かったが、途中の十二双川の縁に立つ染井吉野を観察してみた。予報では明日辺りが静岡の開花予定日と言っていたので、、、
僅かながら咲き出している。白っぽい花が二輪三輪と、、、これから開花前線は北に上がりしばらくは花便りが新聞を賑わすことになるんだろうな。
帰ってきたら、やはり開花宣言が出されたと言う。桜ばかりを、それも染井吉野ばかりとは、、、、と文句がないわけでもないが、まあ世間並みにもてはやしておくのが無難なようで、、、
そして、今日は孫二人の卒業式。親が出席できないと言うので心配して電話をして見たが、いともあっさりと断られてしまって、じいじとしてはちと寂しい思いがする。
しかし、両方とも来てくれといわれても”あちら立てれば此方が立たず”で身が裂ける思いがするだろう。.案外じいじを気遣ってのことと思うことにした。
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今日の花。左、立浪草。筒状の花を空に向けて立てている様を波に見立てて右、あけび。特色のある花を沢山咲かせているが、雄雌異株のためなかなか花の数ほど実がならない。
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