ほろほろと
田んぼの真ん中に立つ近くの中学校の傍を通りかかったとき、突然甲高い雉の鳴き声を耳にした。
その方向に忍び足で近寄れば、草の間から赤い雉の頭が見え隠れしていた。
向こうも自分に気がついている様子だが飛び去らず、そばの木を楯に使って全身をさらけ出さないようにみぎひだり。
こちらも負けずにゆっくりじっくりと気配を鎮めて(気づかれているのだから気配は消しようも無い)カメラを向ける。
突然、近くの藪から地味な羽模様の雌鳥がとびだし、トットコトーとばかりに雄の傍に走り寄り、雄に何か告げるようにしてまた藪の中にもぐっていった。
俗に雉は「焼け野のきぎす」と言う言葉があるくらいの鳥だから、よほど切羽詰らなければ巣から逃げ出すことは無い。と、聞いているので、多分飛び出した付近に巣があるかもしれない。
しかし、傍に近寄れば巣を放棄する可能性が大きいので、そのままにして後ずさりして帰る。
巣があったとしたら、雄は雌にあとで「どうだ!俺は強かっただろう」って雌に自慢したかったのか、自分に姿をさらけだして人間の関心を引き付けていたのは家族思いの自己犠牲なのか、、、、
と、おもうとさすが、”日本の国鳥”だけのことはあるわい。と、にんまりしてかえる。
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「けんもほろろとは、人の頼みごとを冷たくはねのけるさまを言うが、これに当てはまる漢字は無い」と、高校のとき、学校の授業で聞いた雑学のひとつ。
語源は雉の鳴き声からきているんだそうで、今では雉の鳴き声は「ケーンケン」と聞きなしているが、”ほろろ”は鳴き声だとも”はばたき”だとも言う。
#ほろほろと/鳴くやまどりの/声聞けば
父かとぞおもい/母かとぞおもう/おもう
と、いう行基の歌をもとにした歌を習ったが、昔の人は、雉(やまどり)の声をほろほろと聞きなしたのかもしれない。
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万葉集ならぬ玉葉集には、鎌倉時代に作られた勅選和歌集で、その巻十九に行基作として下のようにある。
やまどりの/ほろほろと鳴く/声聞けば 父かとおもい/母かとおもう
これも聞き書き、、、、。
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コメント
おばさま
静岡の麻機地区には田んぼが広がっており、この時期になるとあちこちで甲高い鳴き声を耳にします。
大抵は、潅木に身を潜めているようですが、時たま道路を横切るのでかなりの数がいるとおもいます。
とくに、最近は鉄砲で撃たれることがなくなりましたので、増えているのかな、、鴨も雉も鷺も、、、のんびりと
投稿: オラケタル | 2010年4月16日 (金) 21時26分
最後の写真 素晴らしいですね

つがいの写真・・滅多に見られませんもの。いいえ
初めて見たと思います。
雉って、人家の近くにも居るんですね。
これにも驚き
投稿: おばさん | 2010年4月16日 (金) 13時31分
tomokoさん
雉のつがいってのはなかなか撮れないとおもいます。
それが撮れたのだから自分でもビックリ!しています。人間と違って次の動作を指示ずるわけにも行きませんし、まったくの偶然。
雉のほうもよく付き合ってくれました。時間にして10分くらい、写真を20枚余(ぼけたのは除いて)
投稿: オラケタル | 2010年4月15日 (木) 21時17分
こんばんは~ 雉の雄って、こんなに綺麗なんですね
どんな有名なデザイナーさんも、近寄れない感じです!
雌がツツツーゥ…と近寄って、二言三言? これがいいなあ~
凄いシャッターチャンスでしたね!
投稿: tomoko | 2010年4月15日 (木) 19時38分