少年時代の味を堪能
昨日は日本各地で熊が出没し、何人もの人が怪我をしたと報道されていた。
今年は、梅雨時の豪雨や夏の暑さで山の生り物が少なく冬眠を控えて人里に出てきたようだと言っていた。
自分たちも子供の頃は山の木の葉が染まりだす頃から山に行くと、山葡萄やアケビ、栗、栃の実、猿梨、キノコなどを採りに山に入ったが、人と分け合うのが嫌さに単独で自分だけが知っている場所に向かったものだった。
特に山葡萄は、冬の間の飲み物にするため、高い木の上まで蔦を掴みながら昇って採ったが、着たきり雀の黒い学生服を熊と見間違えられ鉄砲の標的にならなかったものだと、今になって冷や汗が出る。
日本古来の葡萄は、この山葡萄と自分たちは”草葡萄”といっていたが、正式にはエビヅルと野葡萄があり、野葡萄以外は食べられる。
エビヅルは、粒が小さいながら潅木にしか昇らないので、低い位置にあり子供でも採り易かった。
(ちなみに、葡萄は中国経由の外来語であり、むかしは山葡萄もエビヅルも、まとめてエビヅルといったそうで、海老茶色といま使っている言葉も、もともとは葡萄のつぶした色と茶色が混じった言葉だと言うそうだ)
このエビヅルは、流通センターの奥で見つけたものだが、最近では子供が口にすることもなく、道路わきのガードレールに絡みついており、傍まで草刈の手が入っていることからあと僅かで消滅ことするだろう。
六十年まえの少年は、千切った房をよこなぐりに口でしごき、久しぶりに味見を堪能してきた。
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本日の話題はチリの鉱山からの救出につきる。同じように鉱山で二十年余仕事してきたものとして関心はあったが、あまりにもショー化されての救出には幾分違和感がある。
しかし、全員が奇跡的に救出されるとしたら、稀有のことであり、世界の鉱山史上でも特記されることには違いない。
落盤事故での救出は、迂回の坑道を掘削して向かうのが普通で、そのほとんどは生存していなかったことから、幸運な条件が幾つも揃っていたことになる。
ひとつは、石炭山と違ってガスの発生もなく地熱が高くなかったこと、湧水が少なかったこと。そして、避難所があって食料品の備蓄があったこと、等々であり、自分が当初心配した精神面をはじめ病気が出なかったことに尽きると思う。
いずれにせよ、不幸中の幸いであり、良いニュースでとりあえずは”めでたしめでたし”で、締めくくる。
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