銀杏の木に下で
紅葉の代表が紅葉なら、黄葉の代表は銀杏にとどめをさす。
日の光を反射して、輝くように光る木の下に立って見上げれば、明るい黄色に包まれて、一種の幸福感を感じる。
寒気触れた部分から黄葉がはじまり、次第に幹に近い部分に黄ばみが進行する。外周は輝く黄色なのに、緑色を少し残した葉の間を縫って、風も無いのにひとひら、そしてまたひとひらと舞い落ちる扇形の落ち葉。
銀杏は中国に残っていた木が世界に広がったため各地にあるが、仲間の木はなく、一属一種の木で、中国語で”銀の杏” つまり、ギンのアンズが日本語でギンナンと呼ばれるようになった始めとか、、、、、、、
ほかに、葉の形が鴨の足に似ているところから鴨脚とか、寿命が長いところから公孫樹などと言われている。
銀の杏も熟れてくると黄色くなって地表に落ちてくるが、その匂いはたまらない。
子供の頃、大風が吹くと雨のようにぼたぼたと落ちているのを、火挟みで挟み取り、袋に入れて持ち帰ったが後始末は母親任せで傍に寄らなかった。
しかし、食べる段になると拾ってきた権利を主張し、殻を金槌でたたいて傷つけたものを囲炉裏の灰の中に入れて焼けるのを待った。
ときどき、傷つけようが足りなくて、灰のなかで弾けるさまは、猿蟹合戦もかくやと思わせるものがあり、後ろにひっくり返ったのも今は遠い思い出ののなかに埋没して行きつつある。
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