艶々と光らせて
オオイヌホオズキが黒い実を艶々と光らせていた。
傍には寒さにもめげず薄紫の五弁の花が幾つも咲いていることから、寒さにはかなり強い草のようである。
また、アメリカイヌホオズキとはかなり近いようで、なかなか区別が出来ないそうだから、自分のようなものにはますます分からなくて当然。
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九十翁も亡くなってからもうすぐ二週間になろうとしている。
この日との連れ合いが、しばらく前から認知症の気があったのだが、最近「そろそろ家に帰ろうよ」とよく言うようになって困っていると言う。
はじめは、五年ほど前に古くから住んでいた築百年は越す建物を壊し、新築した家になじめないのかと思っていた。
自分の祖母も五十年あまり前に同じような環境におかれたとき、同じような言葉を繰り返し言って、家族のものを困らせたと聞いていた。
しかし、どうも話を聞いていると、家業が農家だったのでずっと一緒に傍にいた人が急にいなくなったことが原因で無いかと思うようになった。
故九十翁は傍目から見ても微笑ましいくらい連れ合いを大事にし、蟹のボイルにしたのが手に入ると、太いところを渡して自分は残りものを世話をする合間に食べるとか、御飯の支度もかなりの頻度でしていた。
そんな連れ合いのいるところが一番安心できると記憶の中にあり、その人がいないところは人の家と言う感じなのではないかと思うようになった。
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いま、裏の川にカルガモが来ているらしく、あまり綺麗な声ではないが、低い声でグエグエグエと啼いている。
近くに仲間でも来ていて合図のために鳴き声をあげているのだろうが、なんだか侘びしい気にさせる。
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コメント
慶さん
よく、妻に先立たれると夫はすぐにあとを追うが、夫が亡くなった妻は、はつらつとしてくる。なんていわれることがありますが、そんな風に振舞えるのは正気の間でしょうね。
惚けてくれば心にしまっておいたものが止められなくなるのだと思います。
慶さんの友達の舅さんも長い間閉まっていたのでしょうね、、、。
自分が惚けたらどうなるのでしょうか。そんなに遠い先のことではないのですが。
投稿: オラケタル | 2011年1月 2日 (日) 22時09分
あけましておめでとうございます。
昨年の記事であいさつもおかしいですが、「連れ合いが亡くなって…」と言うのがせつなくって、コメントしています。
友達のお舅さんは戦争から帰ってきたら、奥さんと子供さんが空襲で行方不明になっていて、何年かして再婚して出来た息子さんがご主人なんですが、ずっと静岡空襲の事をつたえる運動をしていました。晩年になって(といっても再婚してからの息子さんはまだ、30歳。お孫さんはまだ2カ月の時でした。)徘徊をするようになったのですが、焼跡を妻子を探しているらしく、昔の家のあったところをずっと、泣きながら、歩いていたそうです。50年たっても探しているのですから、ましてや長年連れ添ったご夫婦ではその、痛みは計り知れないですね。「家に帰ればおじいちゃんがいる」って思いたいのでしょうね。
投稿: 慶 | 2011年1月 2日 (日) 15時44分