この子の七十のお祝いに
日の出前の深い霧も次第に薄れるなか、朝五時半から畑に入る。
昨日の夕立で地面が濡れて、鍬では土が重くてやり切れないだろうと言うことで、ロスが多いかもしれないがユンボで掘ろうと言うことになっていた。
朝飯前に真っ赤なじゃが芋、アンデスという品種から掘り出した。
八時までかかって、林檎のコンテナーに三箱収穫したところで、朝ごはんの支度が出来たとの呼び声で作業は一時中断する。
ふたたび掘り出したのは、九時過ぎだったが、すでに気温は30度に近く直射日光はヒリヒリと肌の染む。
ユンボで掘り、バケットをゆすって土を落とした中からじゃが芋を拾い出す、「これじゃ静岡と変わんないね」と愚痴をこぼし始めたときには、幾分バテ気味になっていた。
一ヶ月前に成長が悪く見えたときから覚悟はしていたのだが、男爵、キタアカリ、セトなんとかと白い系統のじゃが芋は実りが悪く量が少なくて、気落ちがしてしまったことも拍車をかけたようで、昼休みにはバテバテになり食欲も落ちてしまった。
食事中「東北へボランティア行こうか、なんて言わなくてよかった。こんな調子じゃ行ったところに迷惑を掛けてしまう」と、この歳になっても自分の体力がわからない。 いや、都合の悪いことに目を瞑って、分かろうとしないのではなかったろうか。
午後になって、豊田市から弟夫婦がやってきたので、大変なほうはそちらに任せて、一線を退く。
3時過ぎようやく作業が終了し、シャワーを浴びてようやくホッとする。気温は34度とか、、、良くぞ熱中症にならずに済んだものだ。
四時半まで涼んだ後、今夜の宿がある別所温泉にむかう。と、いうのも今年は弟夫婦が数え年では有るが古希を迎えているので、そのお祝いを兼ねて招待することにしていた。
そのことを食事が始まる前まで伏せておき「我々の幼い頃はこんなに長生きするとは思いもしなかった。まずはおめでとう、、、」
七十歳を迎えた弟夫婦、前期高齢者の真ん中、、、通うりゃんせ通りゃんせ、、、この子の七十のお祝いに、、、行きはよいよい帰りはどうなる。で、あと何年。 目出度くもあり目出度くもなしのお祝い。
で、乾杯をし、食事の後もゆっくりと話し合う積りだったが、疲れは予想以上に激しいらしく九時を過ぎたところでまぶたが重く、とてもとてもそれ以上は無理と、床に就く。
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