耳を澄ませて
我が家から南に2km。愛宕山の道脇に冬イチゴが赤い実をつけていた。
またしてもこの冬一番の寒さと言うが、霜も見当たらず、街中で吹いていた風も雑木に囲まれた細い道にまで浸透してこない。
子供ころ、このイチゴをつまんで食べたものだが、いまの子供たちには興味の無い果実であろう。
こんなに熟れているのに酢っぱみは思った以上でが硬い種を口中に感じる。
食べ物ないころは、こんなものでもごちそうだったのだ。
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愛宕山城の二の郭の下辺りに「耳を澄ませてごらん、、、、、」と言う立て看板が木にもたせ掛けてある。
こんな風の吹く日は、職業性難聴で耳の遠い自分にも、いろいろな音が聞こえてくる。
孟宗竹が隣の孟宗竹と触れ合って、カンカンと幾分乾いた音を発し、直径20センチほどの木がよじれるのか「キュウッ」とため息を漏らす。
遠くで、東海道本線を走る列車のせわしげな音と汽笛。合間を縫って部活の高校生が発する掛け声、、、、、
芝生の広場に仰向けに寝転がり見上げる空には雲もなく、絵の端に葉をきれいに落とした桜の木が揺れている。
年の瀬に忙しく働く人々をよそ目に、、、こんなことでよいのだろうか。
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