布引観音参り
信州は千曲川のほとりに信仰心の無いおばあさんが洗濯物を干していると、牛がその洗濯物を角に引っ掛けて歩き出したそうな。
その洗濯物取り返そうと、牛を追いかけていったところ善光寺に着いてしまい、おばあさんは思いがけず善光寺参りをした。
このことから、「牛に引かれて善光寺参り」と言う言葉が出来たそうな。
そして、その話の発端となった場所に布引観音が出来たそうで、今でも山肌に白い布のあとが残っている。
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十七日の天気予報は雨だった。
それで、我々夫婦以外はそのまま雨の振り出す前に帰ろうと言う案も出たが、姉夫婦は名残惜しいようでどこか一緒に行くところはないかという。
近場を考えた末、布引観音を案内することにした。
上からは、自動車の入る道もあるようだが、地元の人でもなかなか分かりにくいところだし、下から鬱蒼とした木立と凝灰岩の崖の間を抜けて上がるのがいかにも有難みがありそうなので下の駐車場に入れる。
足弱な姉だったが、「ここまで来たら昇ってみたい」というので、ゆっくりと騙し騙し昇りだす。
空は暗く、雨が降る予報だったが、昇りだすときは傘を持っていながら、思い出すことも無く落ち葉と段差のきつい山道を登った。
観音堂まで、およそ30分以上かかったか、途中で追い越されたカップルが折り返し降りてくるのに励まされどうにか到着。
崖造りの観音堂に来て、「来て見て良かった、なんだかんだと話をしながらだったのでつらくは無かった」というのでこちらもほっとして「そうかい、牛でなく、自分に引かれて観音参りだね」と応えておいた。
降ってきて、自動車を走らせ始めたときから、雨が降りだした。「これも観音様のおかげかしら?」なんて言葉が聞こえる。
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