
卵のようなまあるいつぼみの口を開いて、紫の花をのぞかせているのはタマアジサイである。
安倍川の上流、有東木の集落を通り越してさらに高みに上がった、標高800m付近に咲くこの場所は、我が家より大分涼しい風が吹いている。
涼しげな薄紫の可憐な花は、日ごろ見かけるアジサイに比べて開花の時期がこれからであり、ぐっと涼しげに見えるのは、周りの山の冷気を吸っているからであろうか。
すぐ傍を流れる谷川のいわばしる音を聞いていると、目蓋が重くなり、魂が無窮の彼方に飛んでいく気がして、、
路傍の苔むした岩に腰掛けてほんの少しまどろんでみたが至上の極楽気分であった。
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