むべなるかな
そのむかし、天智天皇が近江の国に行幸したとき、子や孫を沢山持つ老夫婦を見て「汝ら如何にかくぞ長寿ぞ」とたずねたところ「この地で採れる果物が無病息災の霊果であり、毎年これを食するため」と答えたと言う。
これを賞味した天皇は、「むべなるかな(さもあろうな)」といい、以後毎年献上するようお付きに指示したそうだ。
しかし、それから毎年食べたはずの天智天皇は、50歳まで生きていなかったようなので、効果があったのかどうか判らない。
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きのう、知り合いの農家の人が、ムベの実を沢山持ってきてくれた。
形はアケビの仲間だけあってよく似ているが、口を開けることはなくマンゴにやや似た香りを持っている。
ムベの花は四月に筒状の花を咲かせ、次第に大きくなっていくのだがアケビ同様雄株と雌株があるようで、一本ではなかなか実をつけない。
花の形もそうだが、実は薄皮をはいでそのまま食べると、1センチ以上になる平たい黒い種が出てくるところも、アケビとはずいぶん違う。
昨日今日と一日あたり三個づつ食べているが、、、、、、、ほのかな甘さと香りは霊果といっても間違いないような気がして「うん 長生きしそうだ」と思ってしまう。
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.今年、23歳になった一番上の孫が久しぶりに訪ねてきた。
なんでも夜勤明けで家にいたら「じいじの顔を急に見たくなって、、、」と、
この孫は、高校を卒業してすぐに就職したが、かなりのブラック企業だったようで、一年で退職した後、老人介護の施設に就職した。
その施設は、寝たきりの人がほとんどで意識のない人もいるとのこと、したがって、毎月何人かが亡くなっていくため、その現場にいなければならず、自分としてはあまりよくない職場だとはじめは賛成しなかった。
しかし、「じいじ、勤めだしてもうすぐ三年になるよ。来年は介護士の試験を受けることにした」という。
「ふ~ん たいしたもんだ。がんばれよ!」そして、余計な一言「石の上にも三年っていうからな」
孫のほうはとっさのことで分からなかったようで「それってどういう意味?」
「うん、どんな仕事でも我慢してやっていれば、だんだん面白みが出てくるってことだよ」またまた説教口調になってしまう。
年寄りってのはどうしてこうなのかな、、、、、、
それでも孫である。さっと聞き流して、ご飯時間になったら美味い美味いとお世辞ぬき(?)の賛辞を投げかけ、二人分しか用意していなかったご飯とおかずを平らげて行った。
おかげで、食べることが出来なかった連れ合いは帰ったあと、、、、まさにムベなるかなと思ったかどうか
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