”民の竈”から煙は出ない
そのむかし、この歌を習ったときは飛騨の山奥には山茶花の花はなかった。
この歌を教えた学校の先生は、椿によく似た木で花もよく似ているが、花が散るとき椿のように花丸ごとでなく、花びらがばらばらになって落ちる。と、言っていた。
それから、しばらくしてふるさとを離れるまで見たことがなかった。
そして、山茶花は別にして、当時はどこでも焚き火は見ることがあったが、いまでは迂闊に焚き火をすれば、消防署に通報が入る時代になり、”あちら立てればこちらが立たず”の状態になった。
それゆえか、焚き火と言う言葉に郷愁を感じるこのごろである。
すこし湿った落ち葉の入った焚き火は、一気に燃え上がることなくくすぶり続けて、煙を風下になびかせる。
その煙が目に入り、涙目になりながら焚き火の中に放り込んだ細いサツマイモが焼けるのを辛抱して待つが、一度として上手く焼けたためしはない。
片面は真っ黒に焦げているのにその反対側は生焼けでゴジゴジと食感が悪く、本当に美味い部分はほんの少しだった。
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十月三十一日から明日まで駿府公園を中心にして、静岡大道芸が行なわれている。
例年この時期は天気もよく脚立を自転車に乗せて出かけているのだが、今年はズーッと雨続きで行く気がしない。
おかげで何百円かの投げ銭は確実に減っている。いや、自分同様傘をさしてまでと言う人はほかにももっといるだろうから、今年の経済効果はぐんと落ちているに違いない。
これは自然現象で仕方の無いことだが、昨日、日銀が決めた金融緩和の追い討ちは世界を驚かせたようで、世界的に株式相場を跳ね上がらせたうえ、円安になった。
消費税を上げて以来落ち込んでいる景気を回復させるためのものだと日銀総裁は言い、政府は歓迎の意向であるが、逆の見方をすれば政府が主導してやらせたと見なければならない。
この施策のため、株の売り買いをしている人は大歓迎らしいのだが、お金をゲーム感覚で扱っているだけの人は世間に儲かった金を還元するということはない。
その一方で、ここ何ヶ月か続いている国際収支の赤字幅はさらに加速して行き、輸入商品の値上げは一般家庭を苦しめることになる。
「デフレからの脱却」「2%のインフレ誘導」は裕福な人にのみ恩恵をもたらし、それ以外の人にはさらに苦しさを強い、先に希望の持てない国になる。
お坊ちゃん首相には、「民の竈」を見る気はさらにない。もっとも、竈から煙がでない世の中になってしまったものな、、、。
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