ノスタルジー
ー甘夏畑のその上の雑木林の中に一本の山桜がほとんど満開を迎えていた。
霞か雲か、、、と言うが淡い桃色ながら、緑の山、青い空を背景にきわだっている。
おとといは、鶯の初音を聞き、今日はツバメが長い旅路の疲れも見せず高い空を飛び交っている。
季節はソメイヨシノの開花宣言もあって、初春から春本番に突入したことになる。
久しぶりに賎機山へあがってみたが、今日の陽気に行きかう人たちは、それぞれに汗ばんでおり、風除けのウインドヤッケを脱げば、テーシャツの布目を通して吹き抜ける風が心地よい。
帰ってくれば、汗ばんだ下着が臭いから早々に脱いで洗濯機に放り込めという。
むかし汗の匂いは、男臭いと言われ、働くものの象徴であり、決して嫌われた臭いではなかったと思うが、歳を取ってくると加齢臭いわれ、タバコ同様肩身の狭い存在になってきた。
先日も五十代の娘婿と話したことだが、今の子供は一度袖を通した着物は即座に洗濯機に入れることが当たり前になってきたと嘆く。
この婿の時代ころまで、子供は年がら年中黒の学生服ですごし、ほとんど着たきり雀が身についており、時折「そんなに洗うと着るものの生地が駄目になってしまう」といっては、家内のヒンシュクを買っているが、自分もその先輩として同様な仕打ちを受けている。
考えてみれば、子沢山で洗濯物を手で洗う時代には、そんなに洗っていたら手も疲れるだろうし、水汲みが大変だったろうしできなかったことだったね。
しかし、 しかしね、この風潮はき行きすぎじゃないかと思うのは、バンカラが学生の美だと思っていた男たちのノスタルジーだけなんだろうか。
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