PM2.5考
谷間の露が上空の冷たい空気に引っ張り上げられているのだろう。
こんな日は、胸いっぱいにこの霧を吸い込んで肺の奥の隅々まで行きわたらせて見たいような気分にさせられてしまう。
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鉱山にはむかしから鉱山特有の病気がいくつかあった、その中で一番怖かったのは、当時の言葉で”けい肺”という病気であり、江戸時代には”よろけ”と呼ばれていたやまいであった。
大工を三年すりゃよろけて死んでしまう。といわれたこの病気は、削岩機などで岩盤に穴を掘る際や発破をかけた際に出る細かい石の粉で、肺胞の先端、空気が血液に取り込まれる部分の小さな出入り口をふさぐことによって起きる病気であった。
人間の身体はこの異物を包み込み結節となって無害化しようとする、しかし、けい肺の怖いのは、結節が増大することであり、ほかの粉塵に比べると粉塵職場から離れても増大すると聞いた。
その大きさは、肺胞にある小さな穴と同じくらい0.5ミクロンだとされており、この病気で亡くなる人は、その末期を相当苦しむ上、火葬しても結節が焼け残っているとも聞いた。
さらに、昭和も40年代後期になると、鉱山にもジーゼルで動く機械が入ってきてその排気ガスが切羽に充満し、作業環境は更に悪化しため、マスクをしたが、フイルターはたちまち油煙で真っ黒状態、、、、、、、
そんな中で、20年ほど仕事をしてきたのだが、何が幸いしたのか、自分は免れてきた。
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いま中国の首都がPM2.5 とやらで、昼でもライトをつけて自動車が走っているのをテレビが放送していた。
自動車の排気ガスもだが、悪質の石炭を燃やすことが原因だといわれている。
経済を動かしていくには、どうしても限界があるそうで、環境悪化に対して「外に出ないで」という、おそまつな対策しかないようだが、家の中にもPM2.5は入り込んでくる。
日本でも、経済成長期の昭和30年代からあちこち工場から煙でスモッグが発生し、喘息など呼吸器の病気、そして、河川の汚染で川が泡だったり、水銀中毒患者がでたのをみると、いまの中国はちょうどそのころに匹敵している。
政治体系のちがう中国では国民の声はとどかない。
この先どの位すればこの騒動は収まるのだろうか。
まさか、”百年 河が澄むのを待つ”とは言わないだろうけれど。
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