
庭の椿の花、紅白入り混じった大輪で一重の花。
二十二年前に他界した母親がそのむかしに買ってきた物だから、樹齢はうん十年と古いものだが背丈がちっとも伸びないでいる。
花の色具合もそれさまざまで、赤が多かったり白が多かったりとそれぞれ違うがそれもまた愛嬌があってよい。
その花が昨夜からの雨に打たれたのか、木の根元にぽつんと仰向けに落ちていた。
椿の花は花びらを散らすサザンカと違って丸ごと落ちるのであるが、その情景を見ていると、下自分がいた場所を見上げて短かった映画のひと時を懐かしんでいるようにみえる。
そして、いずれ近いうちに自分を育ててくれた土に戻る。なんだか人生そのものに見えぬでもない。
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