かたくり粉で「へ~」
出るときは予報どおりぽつぽつの小雨であり、午後から向こうでは陽が差すと言うことと思っていたが、甲府盆地あたりから雨脚が激しくなり、野辺山を越えれば上がるのかと思ったら、それも否定されてしまった。
立科町に着いたものの畑に入る状況でないどころか、まず明日から晴れても土が乾くのは明後日なんだろうな。
途端、予定は大狂い。
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長野の春は遅い。
桜は落花盛んで、春はこれからだと言うが気温はここ三日間二十五度越えの真夏日で暑かった。
そんなか片栗の花を見つけた。
青紫の花びらを反り返らして威張ってはいたが、花期の短い花で早くも暑さ負けをしているようだった。
この花を見ながら思い出したのは、子供のころ子の葉っぱを摘んで御浸しにして食べたもんだといったら、向こうの御仁は「で、味は?」と聞いてきた。
「ほうれん草によく似ていてこれと言った味は無いよ。それより、この根からとったかたくり粉ってのは農家の嫁さんの副収入で、掘るのを手伝ったことがあるよ」って言ったら「へ~かなり採らなきゃ駄目なんだろ」っていうので、爺さんは調子に乗ってしゃべりまくる。
今でこそ澱粉と言えばジャガイモになってしまったけれど、むかしは葛の根や藤の根、ワラビの根そしてカタクリの根から澱粉をとって、それぞれ、くず粉、吉野葛、ワラビ粉、かたくり粉といったんだ。」
「今ではみんな高級品我々の口にはとても入らないし、もしそれを名乗ったものがあればたいていはジャガイモ澱粉なんだ。」
一同「へ~」と言わせて悦に入ったが、どんな「へ~」だったのだろうか。
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