春の匂い
風薫る五月もそろそろ終わりになるのであろうか、吹き込む風に春の匂いを感じたことのある人はどのくらいいるだろうか。
自分が若いころ勤めた鉱山には1,200余mの山頂から、一番下の坑道まで約800mほどの高低差があり、その間いくつもの坑口があった。
そして、これだけ高低差があると気温の差のため夏は下の暖かい空気が上部の坑口に向けて吹き上がり、冬は冷たい上部の空気が下のほうに吹き降ろした。
春になって急に地表の空気が暖かくなると若葉の匂いを載せて吹き込んでくる空気を腹いっぱい吸い込むながら坑内から出てくるときの気分と言ったら、それこそ極楽気分になってしまうものである。
たぶん、今日みたいな日の午後三時仕事を終えて0m通洞坑口を歩いて出るときにこのかぐわしい風を感じているだろう。
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