地こすりの季節
昨日に続いて今日も雨降りながら十六度と気温の高い日だった。
子供のころ今の時期は朝夕の気温の差が激しく、前の日があったかいと、夜気温が下がって雪の表面が凍り、輪かんじきやスキーでなくても足がめり込まなくなる(これを称して”ごぼらなくなる”といった)ので普段は藪などで歩けない場所でも好きなように走れた。
ただ、気をつけなくてはならないのは”地こすり”という雪崩も起きて国道筋ではトラックが川に持っていかれるという惨事さえあるほど強烈な雪崩が発生した。
向かいの山で谷筋を掘り起こしながら茶色くなって雪崩れる音は春の兆しでもあるが、見ていておっかないものがあった。
一般に雪崩のことを、飛騨では”のま”と言ったがこれは飲み込まれるという意味があったのかもしれない。
そして、地こすりに対して真冬に起きる表層雪崩を”アワ”といったが、これは急斜面にドカ雪が降ったとき起きる表層雪崩で、淡雪というと優しい感じだが、アワは猛スピードで流れ下るため時として数10kmにもなるため、もみの大木でさえ押し倒し直径15cmほどの枝を付け根からむしり取って丸太にしてしまうほどの威力を持っている。
暖冬で雪の少ない今年ではあるが、山では怖い季節を迎えているに違いない。
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