雲いずくに
十六夜の月は雲の陰で一服したいのかもしれないが、つれない雲は薄くて速い。
雲のいずくに 月やどるらん という歌があるがどこの雲も長い滞在を拒んでいる。
家から見える国道一号高架の照明と競うつもりはないのだが、「世間が許してくれない」と言った感じで無理やり競わさせられている。
月日の経つのは歳を取るにつれて加速度的に早くなっていくような気がする。
年が明けたのがやっとこの間と思っていたに、はや十一月、「年賀状の用意を、、、」と郵便局のコマーシャルは急き立てる。
コロナで家のこもっている人には長いのかもしれないが、年寄りには何もしなくても早く過ぎる季節。
話しは違うが、今年生まれた赤ちゃんは八十六万人とこれまでの最低を更新しているそうだ。
政府も今ごろになって慌てだし、不妊治療などを保険適用にしたいなどと言い出した。
自分の娘が生まれたときは、丙午の騒動のさなかだった。
ヒノエウマに生まれた女性は気が強くて、家事などの災害をもたらすという根拠のない言い伝えから、前の年に比べて五十万人もすくなかった。
しかし、それでも百三十六人余が誕生し、その半分は女性であり、自分の娘のその一員だった。
授かりものだし、我が家の初孫だし、向こうの爺婆にとっても初孫になるため大事に育てられたが、その大事さで気が強いのは仕様がないにしても、火事とは縁がなかった。
そして、一番儲けたのは人口の少なさが就職時などのとき売り手市場だったことにある。
百三十六万人の時はそれでも危機感が少なかったが、八十六万人となったいま果たしてこの国が維持していけるのだろうか。
そしてまた、2026年が再びヒノエウマの年になるのだが、このときはどんな数字が出てくるのか、、、生きていればその結果を再び見ることになる。
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