黒い富士
この時期にしては珍しく富士山がくっきりと見えた。
ほとんど雪も消えて墨絵のようになってしまっている。
お昼少し前になって、友達の奥さんから電話が入った。
「主人が先ほど亡くなりました」
末期がんが見つかって3ヶ月、今の医療では長期に入院していることがかなわないようで、転院を余儀なくされ自宅から離れた病院に移されたのが十五日だった。
それから三日、あまりにもあっけない黄泉の国への旅立ちだった。
昨日まで奥さんと話ができたそうだ。
山の畑仲間だったので、付き合いとしては十年と少しだったが仲間の輪に入って口数は少なかった代わりに人の話をよく聞くタイプ、、、、大学で先生をし、大金持ちの部類に入る人だがそれを表に出すこともなくひょうひょうとした風貌は、細身の身体と相まってあだ名は”仙人”
「歳を取るということはこうして友人が減っていくことである」とはわかっていても、現実として受け入れかねないところがある。
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