ケリッ ケリッ
まだ恋も始まっていないのか、ケリが稲の切り株の多い田んぼの真ん中でたたずんでいた。
代掻きが始まるとあちこちで巣を作り抱卵をしているが、孵化するとすぐに巣を捨ててひなを連れて歩くのは、田植えまでのんびりと子育てしている時間がないからかもしれない。
もっとも雛もすぐに歩ける状態に素早く成長する力があるからこういう場所を枝ぶのだろう。
しかし、この時期のケリはかなり狂暴になる。
あらゆる敵からひなを守るため自分の倍はあろうと思われるカラスなどにも特有の甲高い声を立て突っかかって行くし人間にさえ近所のケリを呼び集めて上空から威嚇する。
その鳴き声は、ケリッケリッと名前の由来になった声で威圧してくるが、なんだか鎌倉時代までの武士が「やあやあ 我こそは田んぼの住人ケリなるぞ!」と名乗りを挙げて戦いに挑むかのようで、、、、、
今日は苗字布告の日だという。
今でこそ当たり前だが、江戸時代まで武士以外は許可がなければ姓を名乗ることができなかった。
しかし、明治八年というから150年ほど前にすべての人が姓を名乗るよう義務付けられた。
義務付けられた方ではびっくりしたようで、自分で決められない人は近所の物知りやお寺の坊さんなどに依頼したようで、てんやわんやの末決まったそうだ。
自分の家は、集落の方角だったか家の前を流れる谷川の名前で付けられたようだが、この町では特別変な苗字はなく小さな町ながら九軒ほどあった。
しかし、静岡に来てこの姓がほんのわずかしかなく、人口が20倍もある静岡市の電話帳には八軒しか載っていなかったことにびっくりした。
代わりに驚いたのは、苗字の種類が偏っていることであった。
杉山を筆頭に望月、青島、増田、内山などの苗字の多いこと、、、、30人くらいの会社に行ってみるとこの姓を持つ人が必ず何人かいる。
自分の友達も杉山姓を名乗っていたが、病院で名前を呼ばれると必ずと言っていいくらい立ち上がる人がいて、電話帳にも同姓同名が5人もいるし、同じ読み方になると20人近くになると言っていた。
東海道の沿線にいながらこんなに苗字が固まっているのはどういうことだろうか。
だいたい苗字をつけるとき「隣がこの姓ならおらんとこも、、」なんておもったのか、それとも面倒くさいとばかりに坊さんが一括して決めたのか、、、、、
住みよいところなので、ほかの県(土地)に行くことがなかったためか、、、、、
とにかく、先に書いた姓は繁華街で石を投げればそのうちの一つに必ず当たると聞いた。
そういえば、富山県に一村全部が「佐伯」姓を名乗っている集落があったが、これは立山信仰との関わり合いからだそうだ。
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コメント
おばさま
鈴木、田中、中村さんなどは全国的に多い姓ですが、杉山、望月の多さは静岡の特徴ですね。
そういえば清水から富士市にかけてはあまり他では聞かない姓がありますね。
清さんとか山梨さん石切山さんなど、、、、
投稿: オラケタル | 2022年2月14日 (月) 17時01分
学生時代 望月さんと中村さんという方がいたので
出身地で読んでいました。
鈴木・中村・田中
多いですね。勿論 私もね。
投稿: おばさん | 2022年2月13日 (日) 22時46分