ノマ
春遅い”飛騨の春”は遠雷のような音から始まる。
高原川を挟んだ向かいの山の迫(サコ)を茶色く染めてノマが下っていくときの音である。
”ノマ”とは飛騨や富山などの豪雪地帯で使われる言葉で雪崩のことを言うが、降り積もった上の雪が崩れる泡(アワ)と春地面の温度が上がってすべてが崩れる”地こすり”と呼ばれるものがあり、後者の地こすりが被害を大きくする。
もちろん泡だって国道41号線でトラックを押し流したこともあるのだが、土砂や大木を巻き込んで下る土石流のような地こすりはまた格別である。
飛騨を離れて四十数年、いまでは雪の降らない静岡に住んでいるが、今でも耳の奥ではあの遠雷のような音を覚えている。
毎日のようにウクライナの戦争状況をテレビで見させられている。
砲撃やミサイルによってすべての建物が破壊されているのを見ると、これだけの土地を破壊し多数の人を殺した理由がプーチン個人の意思から来たとすると、その責任はどうなるのだろうか。
八十年余も前に日本が始めた戦争は、敗戦後勝利した連合国によって戦争犯罪人を処罰したが、勝利した側からは無差別爆撃などの戦争犯罪者は出ていなかった。
それでもA級戦犯は仕方なかったとしても、上官に命令されたり、間違えられて処刑されたB級戦犯はどうするのだろうか。
バイデン大統領が先日「プーチンをこのまま指導者にしておけない!!」と言ったことが問題視され、アメリカが火消しに躍起となっていると言っていたが、ソ連時代の再現を望み多数の人命を奪った男が大国の指導者でのほほんと過ごさせないためには、まるっきり間違いではないと思う。
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