極楽風
風鈴がチリリ~ンとなって重苦しい熱風が吹き過ぎた、今年も暑い夏がはじまっている。
「こんなとき”極楽風”は静岡では望めないな~」て言ったら「極楽風って何よ!」といわれた。
そのむかし、高原川ぞいの東茂住と言う集落から大津山鉱山社宅に登る道すがら二か所に休憩所がつくられていたが、登り始めて20分くらいのところにあった休憩所にはいつも極楽風が吹いていた。
下の集落から標高にして百メートルばかし上がったところ造られた小屋は腰かけが三方にあり雨を防ぐだけで開けっぴろげに小屋だったが丁度尾根筋に当たるところにつくられていたため、木の葉越しにそよそよと吹く風は、”まろやか”という言葉当てはまる涼しい風で、山道を登って汗ばんだ肌に心地よくあたり、母親たちがつぶやくまでもなく極楽とはこんなものと思わせるほどの心地よさであった。
このあともう一か所の休憩所を経て標高800mの社宅まで登るのだが、第二休憩所にはほとんど思い出が無いのは極楽風が吹かなかったせいかもしれない。
この極楽風の休憩所も昭和32年ころバス道路が出来てからあまり使わなくなったうえ、自家用車が普及し始めた昭和40年年代にはほとんどは歩く人もなく廃道ようになってしまったと人伝えに聞いた。
それから40年ほどたったころ、同じ中学の後輩が送ってくれた写真にはベニヤで囲った建物が侘しくたっていたが、極楽風はいまでも吹いているのだろうか? 吹いているとしたら誰のために?
鉱山社宅はその前、いまから50年ほど前きれいに燃えてしまって消滅し、後輩の写真にはモニュメントのように独身寮のコンクリート製の防火壁が草木に囲まれていた。
栄枯盛衰あそこに住んでいた人は、、、、、





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